幼稚園と保育園:1歳~小学校入学までの子供の保育施設事情

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ドイツの公立の保育は働く母親が多いので希望の幼稚園(保育園)に入るのはけっこう大変です。同じドイツ国内でも都市によって保育施設の充実度や、制度自体、保育費の値段などの条件が大きく違っていますが、一般的に3歳からはわりと受け入れてもらいやすくても、1歳~3歳までの保育を希望する場合は大変なことが多いようです。

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わたしたち夫婦も1歳からの保育を希望していたので、子供が生まれて名前を決めたらすぐ、生後3日目ぐらいに保育園の申し込みをしました。以前は妊娠中に申請する夫婦もいたらしいのですが、それは数年前からうちの自治体では禁止になりました。

子連れでドイツに行くことが決まったら

ドイツ赴任などで日本からやって来る方はあきらめることはありません。3歳以下でも共働きなら事情によっては特別枠で待機リスト外から入れてもらえる可能性もあります。現地在住の方はドイツ人夫婦と同じ条件になるはずです。

特に3歳以上の幼稚園は急でも受け入れてもらえることがよくあります。数ヶ月のドイツ滞在で最初は幼稚園をあきらめていたけど、子供が退屈してかわいそうなので頼んだらすんなり入れてもらえたなどという話はよく聞きます。

デュッセルドルフにように日本人の多い都市には、日本語の託児施設も存在します。私立の保育施設は保育費が高めになりますが、支払いが会社なら気にもなりません。

日本語の保育施設が近くになくても、無理に日本語の施設を探さなくても、現地の保育園や幼稚園もすぐに慣れる子がほとんどです。ドイツの幼稚園は集団行動も少ないですし、ほぼ遊んでいるだけですから、最初はドイツ語が分からなくても現地の幼稚園に馴染みやすいようです。特にもくもくと1人で集中して遊べるタイプの子が強いです。

さまざまな託児施設の種類とドイツ語の名称

以前は、KiderkrippeとKindertagesstätteとKindergartenの違いがわたしにはよく分かりませんでした。年齢が3歳からのいわゆる幼稚園がKindergartenなのは間違いがないのですが、Kindergartenのなかに3歳以下のKrippeクラスがあったりしますから混乱します。

ドイツ語版ウィキペディアのKindertagesstätteの項目によりますと、Kingertagesstätteは託児施設の総称です。3歳~小学校に行くまでの子が行くのがKindergarten。Kinderkrippe, Großtagespflegeというのが3歳以下の子供の行く保育施設。3歳以下と3歳以上が別クラスとして一緒にある保育施設も多いのです。うちの地元ではKindertagesstätte(Kita)が3歳以下の子供の 行く保育施設の名称として使われています。

3歳以下の子供が行く保育施設

保育施設の名称には地域差があるようです。わたしの住む南ドイツ(のBW州)ではこんな感じで呼ばれていますが、他の地域では同じ言葉でも意味が違う可能性もあります。

  • Kingertagesstätte (略称:Kitaキータ) 3歳以下の子供の保育園
  • Kinderkrippe 3歳以下の子供の保育園
  • Spielgruppe 教会などが小規模に3歳以下の子供を保育する託児所*
  • Tagesmutter 個人が自宅などで3歳までの子供の面倒を見る保育ママ。自分の子供が幼稚園ぐらいになって、家で近所の子供を3人まで引き受けるというケースがこの近くでは多いようです。

地元の公立保育園(Kingertagesstätte)は最年少で6ヶ月から受け入れてもらえますが、実際に入るのは普通は早くても生後10ヶ月ぐらい。一般的には生後12ヶ月~生後18ヶ月の間に入る子がほとんどです。

*Spielgruppeにはプレイサークルという意味もありますので、個人が集まって子供を一緒に遊ばせるグループをそう呼ぶケースもあります。

3歳~就学前の子供が行く保育施設

  • Kindergarten(略称:Kindiキンディ, Kinderキンダー)

普通は3歳以上なら幼稚園に行く

3歳以上の子供の保育は義務ではないそうですが、普通は3歳になったらみんな幼稚園に通います。近所で幼稚園に行っていない子供もひとり知っていますが、その子はシュタイナーの幼稚園に通っていたけれど、先生や他の子供たちと合わずにお休みしている子です。

保育時間などの条件はさまざま

同じ施設でも、半日保育のクラスと、全日保育のクラスがあったり、好きな曜日だけ平日の午後に食事を食べさせてまた連れて行くことができたり、Kindertagesstätte(3歳以下)のあるクラスは基本全日で時間や曜日を選べたりするケースもあります。これは医療関係者の子など両親の仕事が不規則な場合に便利です。

半日保育は通常朝7時~午後13時か14時まで。施設によって違います。全日保育は朝7時~17時までというところがほとんどです。市立でそれ以降の保育をやっている施設は知りません。

  • Ganztagsplatz 全日保育(朝から夕方まで、食事つき、小さな子はお昼寝つき)
  • Halbtagsplatz 半日保育(朝からお昼まで。昼食なし、昼食なしがある)

具体的な時間や食事、軽食、お昼寝などの保育内容は各施設によっても異なります。

保育費は収入に応じて

保育日を無償化して食費だけを徴収する自治体が増えてきていますが、わたしの住む自治体はKindertagesstätteもKindergartenも収入に応じて保育費を支払います。確定申告で一部税金が還付されますが、全額ではないので、子供が小学校に上がると負担が減って助かる、と言います。

親がいろんな当番を割り当てられる保育施設

ドイツには3歳以下の保育施設でも、3歳以上の幼稚園にもある”Elterninitiative”という保育施設があります。Elterninitiativ-Kitaなどという風に呼ばれます。

これは、保育園の先生ではなく、通っている子供たちの親が保育施設の運営にかかわる施設です。保育方針や食事など細かいことも親たちで決められる半面、親も関わらざるを得ません。

わたしが子供のために見学した定員10名で3歳以下の子供の全日保育をしていたところは、ミーティングも多く、施設の手入れや片付けなどの仕事の割り当てがありました。新しく受け入れる子供を決めるのも、親の代表が面接をしてから決定すると言われました。わたしたち夫婦は結局合っていないと思ったので入園しませんでした。

子供を預けっぱなしではなく、自分の方針を反映してもらいたい、という親にはよいかもしれませんが、その時に集まっている子供の親によって雰囲気が左右されること、親の負担が大きいことなどがデメリットです。

夫婦そろってフリーランスで働いている隣人は満足しているようで、二人の子供を通わせています。そういう時間に余裕のある人には他の家族とも必然的に沢山関われるので楽しいのかもしれません。

シュタイナーの幼稚園

日本でも一部で人気があるシュタイナー幼稚園もドイツ各地に沢山あります。シュタイナー幼稚園だけで独立しているところもあれば、小学校などに併設されているところもあります。

ドイツの公立保育園や幼稚園もおもちゃや遊びにシュタイナー風の教育を取り入れているところが多く、公立保育園の先生でもシュタイナーの保育園の先生の資格をもっている人がいることもあります。

地域によって事情は違うかもしれませんが、うちの近く(がんばったら通える範囲)にもシュタイナー幼稚園が3件ありますが、それぞれの雰囲気もすこし違うようです。実際に行っている人に聞いても、その時にいる先生や、親や子供で雰囲気は変わるし、先生によってもシュタイナーでもいろいろ、ということですから、シュタイナーだからと自分の希望する雰囲気の保育が受けられるとも限りません。子供本人の性格や好みでも合う、合わない、があるかと思うので、通わせたい場合は実際に行ってみて決めるのがよいでしょう。

子供をシュタイナーに行かせる人たちはやや高収入~かなりの高収入で、親も子供もリサイクルの服とかを好んで着ていて、オーガニック食品しか食べないようなイメージがあります。

託児事情はドイツ国内でも自治体によって大きく異なる

公立の保育を希望する場合は、まず管轄の市町村に問い合わせをして申し込み方法を確認します。市がすべての申し込みを受け付けて割振る場合もあれば、それぞれの保育園や幼稚園の施設に直接申し込みをする場合もあります。1歳ごろから保育を希望する夫婦が多いので、誕生して名前が決まったらすぐに保育園の申し込みをするのです。

渡独や引越しで前もって申し込みができなくても、そういうケースは特別扱いしてもらえる可能性がありますから、住居が決まったらすぐになるべく早く保育施設の申し込みをやりましょう。研究で大学に滞在する場合は、大学職員用の保育園があるところもある、という話も聞いたことがあります。

一般的にはKindergartenやKindertagasstätteに通えない場合にTagesmutterやKindergruppeなどを探すというイメージがありますが、週に3日だけの保育を希望するなど条件が特殊な場合は最初からTagesmutterを希望するケースなども知っています。どちらがよいというのではなく、違う種類の託児方法ですから実際に出向いて調べるのがよいでしょう。

公立保育施設は競争率が高い

いずれにしても申し込んだのに返事がないから、と待っているだけでは希望の託児施設、希望の時期に間に合わないことがあります。あまりうるさく返事を催促するのも嫌がられますが、友人知人のつて(コネともいいます)も大きく影響しますし、担当者に問い合わせの電話をしてみるなど、自分からあるていどアピールしないともらえる枠も貰えないなんてことになりかねません。いっぱいだと言われても、そのすぐ後に急な転居で1名2名の空きが出た、なんて話もよくあります。そういう時に熱心さをアピールしておくとまわしてもらえる可能性が高まります。

夫婦ともに日本人であればそれで個性と必死さをアピールするのもいいかもしれませんし、交渉が上手なパートナーや友人のドイツ人に電話をしてもらうのもいいかもしれません。特に3歳以下の保育は狭き門、3歳以上も人気の保育園は入りにくいことが多いので、できる努力はやるべきです。

兄弟がいる場合、上の子供が入園してしまえばそのきょうだいは優先的に入れてもらえるのが普通です。つまり最初の子でがんばらないと、希望の保育施設が先々まで遠ざかることになりかねないのです。

保育料は確定申告で一部が戻ってくる

3歳からの幼稚園はどの子供も通うのが普通なので、どこかの園には入園できるのですが、希望の場所に受け入れてもらえるかというのは運に大きく左右されます。

最近は都市によっては保育料が無料のところも増えています。わたしの住む市ではまだ親の年収によって保育料が決まる制度です。

でも、支払った保育料はドイツの確定申告に当たるSteuererklärungで申告すれば支払い済みの税金から一定の割合で還付されるしくみです。還付は保育料の3分の2で、年間4000ユーロ以内となっていたはずです。

いま保育園の先生は人気の職業

幼稚園の先生はあまり人気がないのに比べて、3歳以下の子供が通う保育園の先生はいま若いママたちに大人気の職業です。特におしゃれで流行に敏感な層のママたちにとても人気で、子供がひとりかふたりの若いママたちが何人も職業訓練を受けています。

うちの地元だけの減少なのかもしれませんが、Kindergartenの先生は子供の数も増えるし、先生の質もあまり揃っていないのですが、3歳以下のKitaの先生たちは全体的にすこし上品で落ち着いていて、しっかり幼児の教育を勉強しているような先生が多い印象があります。お給料は去年(2015年)に大規模な賃上げデモやストライキがあったので、どちらもあまり良くないはずです。

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