小学校の成績の見方と、卒業後(小5から)の進学先

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ドイツの小学校が4年間なのは有名です。でもそれに伴い、どういう違いが日本の小学校の4年生までと、ドイツの小学校4年間で現れてくるのか、ということになると、実際に小学生の親を経験しなければ分からないと思います。

今年はうちには4年生の子がいないのですが、そろそろそんな時期だったような、と思って州のサイトを確認したら、今年のGrundschulempfehlungは2月10日までに出すと書いてありました。

https://www.service-bw.de/lebenslage/-/sbw/bergang+in+weiterfuehrende+Schulen-5001333-lebenslage-0

1年生〜4年生で劇的に変化する学習進度

ドイツの小学1年生はとてものんびりしています。ドイツ語授業を例にすると、最初は塗り絵や模様のなぞり書きなどの運筆練習。その後は1週間でアルファベットひとつを習い、1年間かけて全部のアルファベットと綴りの組み合わせの読み書きを学習します。学年の後半になると簡単な文章を読んだり書いたりするようになりますが、わたしの感覚では日本の幼稚園の年長さん程度。あるいは、日本の1年生が半年ぐらいでやる学習を1年かけてゆっくりやるようなイメージです。

算数も同じく、1年生の最初は数字を書くところから習うので、算数なのに塗り絵が多くて、まるで日本の入学準備用のワークブックみたいです。宿題をみてあげた子供の友達は1年生後半でまだ数字を左右逆に書いたりしていました。

2年生もまだ比較的のんびりした感じで進みますが、それが3年生〜4年生になると嘘のように学習内容が高度になります。しかも自分の意見をまとめてみんなの前で発表する、議論する、などの能力も求められるようになります。

ドイツの小学生が最初の成績をもらうのが2年生の最後。2年生ではドイツ語と算数だけに点数をもらいます。これがまず子供の学力を知る目安になります。

ドイツ語と算数の2教科が重要

ギムナジウム進学を希望するなら、ドイツ語と算数が平均で2.5以上の成績を目指します。でも2年生の最後の成績で油断してはいけません。先に書いたように、3年生以降はドイツ語がしっかりしていないとドイツ語授業だけでなく、他の学科でも内容が高度になりはじめ、進度も上がってきます。大きなテストだけでなく、普段の小テストなどにもしっかり準備し、宿題や発表などの課題も丁寧にやりましょう。

わたしは最初の子の時には、学校任せでのんびりしていましたが、子供本人はギムナジウムを希望していて、同級生の親とのやりとりで、成績のよい子の多くは家庭でかなりの親のサポートを受けているのを知って焦りました。

それで初めて小学生用のワークブックを見てみると、その種類の多さにビックリ。元からできる子でなく、ギムナジウムに行くために成績をあげようと頑張っている子は家庭でこんなのをやっているんだ!と気がつきました。

ドイツの小学校は授業数が少ないです。全て学校まかせにしていると、放っておいても本を読んだり勉強したりする子以外は2年生でもらった良い成績が、3年生以降に保てない可能性が出てきます。元からとても賢い子の親の「小学校なんてなにもやらなくても大丈夫!」というのは聞き流します。

目標がギムナジウムの場合は、成績が下がりはじめたら、すぐに家庭でのサポートを増やす、家庭教師をつけるなどの対策をしないとますます戻りにくくなります。

この記事を読む方は日本語話者だと思うので、日本人家庭か片親が日本人の家庭向けに言わせていただくと、日常会話や遊びの範囲ではドイツ語に全く問題がなくても、勉強に使うドイツ語が学年相応まで使いこなせるようになっていないと、先生の説明自体が分からない、ドイツ語で書かれた問題の意味が分からない、などの問題が出てきます。

ギムナジウムを目指すなら日常会話のドイツ語だけでは安心できない

会話のドイツ語と学校で必要なドイツ語は別物です。普通に生活しているだけでは身につきません。特に親がドイツ語が苦手だったり、嫌いだったりする家庭だと、子供のドイツ語のレベルが正確に判断されていない可能性があります。

ドイツ語は放っておいても学校で使っているから大丈夫、と思うのは危険です。ドイツの現地校で勉強ができる子は、家庭で幼い頃から読み聞かせをしてもらったり、家族と話したりするせいか、ドイツ語の語彙が豊富で、使える文法が高度です。幼稚園の時点で既にはっきりと差があります。ドイツ語が母語でないわたしでも分かるぐらいの差なので、小学校の先生には、もっとはっきり分かると思います。

3年生以降の成績(ドイツ語と算数)は進学先を決める基準になるので、希望の学校にあった成績が取れているかを気にかけておかないと、4年生になってから慌てても間に合いません。進学先に影響するのは4年生の前半までの成績で、4年生の後半の最初、今年は2月10日までに先生からの推薦をもらいます。

小学校の次に行く学校(進学先)の割合

うちのBW州を例に、小学校の後に子供達が進学する学校の割合をみてみましょう。(このような統計はどの州でも公開されているはずです。)

https://www.statistik-bw.de/BildungKultur/SchulenAllgem/GSE.jsp

これは、実際に子供が進学した学校の割合ではなく、Grundschulempfehlungenと言って子供が4年生の2月ごろに小学校からもらう推薦書の内訳。「この学校に進学をお勧めします」と小学校の先生から出された進学先の学校の割合です。

市によってギムナジウムに進級する子の割合はかなり差がありますが、BW州では2019/2020年度には、全体で46.7%の子供がギムナジウムへの推薦を受け取っています。これは各地域の平均で村などの細かい数字が出ていませんが、地域によってはかなり高かったりだいぶ低かったりします。

以前はこのGrundschulempfehlungという小学校の教師から受け取る推薦書に効力がありましたが、2012/2013年度以降はこの推薦書の内容にかかわらずに親が進学先を選べる、ということになりました。

でもルール変更後の何年かは、勉強があまりできない子がギムナジウムに入って、先生たちが困っているという話を聞くようになりました。これはギムナジウムに通う子の親にも聞きましたし、教師をしている知人たちからも聞きました。

無理をしてギムナジウムに入っても、成績が伸びなければ試験に受からず、義務教育の間であれば転校しなければいけなくなります。ドイツの学校制度は、ギムナジウムに入ればそのまま確実にアビトゥアまで進めるシステムではありません。

一方で、小学校の後にギムナジウムに進学しなくても、その後で成績が伸びれば将来大学まで進学する可能性も残されています。また、将来自分に合った職を見つけて幸せに暮らす生活は、どの学校に行っても本人次第で可能です。

ギムナジウムに進学する子供が全体の約半分。そこからアビトゥアを受ける子は全員ではなく、アビトゥアに受かっても大学に行かない子もいます。大学に入っても卒業する子は全国平均で7割程度。

ギムナジウムから大学に行くことだけが幸せな道ではないし、将来しっかり稼げることが保証されるわけでもないので、その子の興味と能力に合った学校に行かせてあげるのがよいと思います。勉強が出来て先生に推薦されても「向いていないから」とギムナジウムを選ばない親子もいます。

小学校で起こるトラブル

小学校の3年生〜4年生ではイジメ的なものや、暴力などの話をよく聞きます。

これは統計などを見てではなく、自分の子供の学校や、友人の話などの範囲なのでその程度に読んでもらいたいのですが、怪我をするような喧嘩や、イジメが原因で1年留年することにした、暴力で自宅謹慎になったなど、小学校の保護者会でも取り上げられるような問題が起こるのは3年〜4年です。

1年〜2年では、授業中にうるさい、立ち歩く、トイレを汚すなど学校に慣れる段階での問題のほうが多かったです。クラスの子供の組み合わせによっては学級崩壊みたいになる場合もあります。

あとは、うちの子の場合はありませんでしたが、先生が頻繁に病欠する、長期で病欠して代理の先生が見つからないなどで授業が一定期間できなくなるケースも知人2人から聞きました。(これは小学校だけでなくギムナジウムでもけっこうあります。)

小学校の途中でドイツに来た子供

親の仕事などで小学校の途中からドイツに来て、小学校から「成績をつけられない」と言われる場合があります。母語で勉強がよくできるのであれば、現地校から成績をつけてもらえなくても入学を認めているギムナジウムがあります。

地域によって事情が違うので具体的には書きませんが、うちの地元には2校そういう子供を受け入れているギムナジウムがあります。小学校4年生以降もドイツに残る予定の方は、小学校2年生や3年生の面談で進路の相談をしておいたほうがよいと思います。

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