日常的に使う家電でいちばん日本と違うのが洗濯機ではないかと思います。ドイツの洗濯機は前に丸い扉がついたドラム式(Frontlader)がダントツで主流ですが、実はトップローダー(Toplader)という上に蓋がついているタイプも売られています。こちらのメリットは一般的なドラム式洗濯機よりも場所をとらないこと。
ドイツの洗濯機としては圧倒的に大部分を占めるフロントローダーと少数派のトップローダータイプだけでなく、ドイツで洗濯機を選ぶときのいろいろな注意点をご紹介します。
(英語だとトップローダー、フロントローダーなのでうちの相方はドイツ語で話しているときもトップローダーと言います。日本語でも英語風に言うみたいなので記事中はトップローダー、フロントローダーと書きますね。)
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ドイツで普通に売られている洗濯機は主に2タイプ
現在ドイツで売られている洗濯機はドラム式が普通です。日本の洗濯槽が縦(ドイツの洗濯機から見ると横?)になったいわゆる縦型の洗濯機はありません。ドラム式は少ない水でしっかり洗濯ができます。日本の洗濯機比較で縦型洗濯機のほうがドラム式洗濯機より洗浄力に優れている、と読んだおともありますがそんなことはありません。
水の流れでざぶざぶと洗う日本の洗濯機と根本的に洗い方が違っていて、洗濯物に洗濯液を含ませたら持ち上げて落とし、持ち上げて落としの叩き洗いを繰り返すというのがドイツのドラム式洗濯機のイメージです。(最近忙しくてやってませんけど、わたしはドイツの洗濯機が回っているのをガラスごしにボーっと見てるのが大好きです。)
日本とドイツの洗濯機どちらかを自由に選べる環境ならわたしはドイツのドラム式洗濯機を選びます。必要最低限の機能が揃っているし、汚れもしっかり落ちます。
乾燥機と洗濯機が一緒になっている洗濯機はドイツでは出会ったことがありませんがヴァッシュトロックナー(Waschtrockner)というのが洗濯機と乾燥機が一緒になった物みたいです。日本にいたときから乾燥機が自宅にありましたが、洗濯機と乾燥機が一緒というのはデメリットのほうが多いとわたしは思っています。
トップローダー式洗濯機(蓋が上に開くタイプ)
こちら、ドイツで暮らす日本人にあまり知られていないと思われるタイプの洗濯機。Topladerと呼ばれているタイプです。ごらんの通り、上に蓋がついていて一見日本の洗濯機に似ているのですが、蓋を開けたら一般的な洗濯機と同じようにドラムが入っています。ドラムには大きめの穴が開いている(ドラムの一部が扉のように開くようになっている)ので、その開いた穴から洗濯物を入れたり出したりします。止まったときに開く場所が上になっていなければ自分でドラムを回して扉部分を上にします。洗濯物を入れたり出したりするときん、日本の洗濯機を思い出して、わたしはこのタイプもわりと好きでした。
最大のメリットは置き場所。広く使われている前開きのドラム式タイプの洗濯機よりもかなりコンパクトなので洗濯機をおきたいけれど、置く場所が狭くてどうしよう、というときの救世主。洗濯機が置けないと洗濯機難民(友達に借りてまわるとか、こっそり知り合いの寮で洗濯する人たちのこと)やリッチなコインランドリー生活になってしまいます。
Waschmaschine (Toplader)
トップローダー式洗濯機の最大のデメリットは脱水の回転数の低さ。最新式の洗濯機でも1200UpM~1300UpMくらいまでしかありません。わたしがかつて使っていたふるいタイプのなんて、800UpMまでしか脱水できなかったので洗濯物が乾くのにかなり時間がかかりました。1200UpMでもこれしか置けないならまあいいか、と思えるレベルなんですけどFrontladerにはかないません。
脱水の回転数が分からないという方のために書いておきますと、普通のコットンなどの洗濯物は前ドラムタイプの洗濯機ですと普通は1400UpMを使います。最新式では1600UpMです。1400UpMでもかなり水分が飛んだ状態で洗濯物が仕上がるので、コットンは洗濯機から出したときにシワが気になったりもしますが、乾かしてアイロンがけすればシワは残りません。
洗濯できる容量はトップラーダーでも7kgというものもありますし、使用電力の目安になるカテゴリー分けもA+++(省エネタイプの目安)という機種があります。ただそうなってくると値段も1000ユーロ近かったりしますから、安いからトップローダーを選ぶというのではなく、あくまでも置き場所に制限があって一般的なフロントローダー式の洗濯機が置けない場合の選択肢なのだと思います。
フロントローダー式洗濯機(ドイツで一般的な蓋が前に開くタイプ)
こちらはドイツの洗濯機というえばこれ、というくらい一般的な洗濯機。洗濯機というとこれしか知らない人も多いと思います。ドラム式で前に丸いドアがついていて、ここから洗濯物を出し入れします。
Waschmaschiene (Frontlader)
どこで洗濯機を入手するか
ドイツに家族で引越ししてきて自分で洗濯機を用意しなければいけない場合、費用は気にしない、というのなら近所の小さな電気屋さんで洗濯機を注文して、運搬から設置まですべてやってもらうのが一番楽です。置き場所までなれた人が運んでくれるし、設置も自分で排水ホースをつないだり、水道につないだりする必要もありません。
洗濯機や食器洗浄機のような水を使う家電は故障で水漏れして下の階まで水浸しで大変なことになった、という話はドイツ人家庭でもちらほら聞きます。大体カルキで詰まって故障したりして漏れるみたいですけど、予算が十分にあるのなら地元の電気屋さんのお世話になっておけば故障のときの対応もしてくれるので安心です。
アマゾンの通販や、Media Markt, Saturn, Expertなどの大型家電店で買い物をするときは、洗濯機の購入の際に配達をしてくれるのか、配達をしてくれた場合はどこまで持ってくるのが料金に含まれているのか、配管なども希望する場合はその手数料などもしっかり確認します。故障の際の保障期間も確認しましょう。
わたしが知っているのは洗濯機の配送というと、住居の最初のドアを入ったところまでというケース。マンションだと無慈悲にも入り口のドアまで。台所まで、とか、地下の洗濯機置き場まで、というと別料金となったりします。
ドイツ人男性がふたりもいれば階段もふたりで持って洗濯機を運んでしまいますが、古い建物で階段がとても狭いとか、螺旋になっているとか、運ぶのが大変な家も多々あるのがドイツ。ゆったりスペースでエレベーター付きというような家ならそれほど心配しなくてもパパとご近所さんで簡単に設置場所まで運べます。運搬用の台車があればパパひとりでもなんとかなるかもしれません。
ドイツの古い洗濯機はなかなか壊れない
最近はさすがに新しい洗濯機を目にすることが増えてきましたが、30年くらい昔の洗濯機もまだまだ現役で動いていたりもします。表示が電気になっていたりする新型とちがって、昔の洗濯機はダイヤルをまわして設定するタイプ。中古洗濯機と中古乾燥機専門店という店に行ったことがありますが、古い洗濯機のパーツを寄せ集めて修理して売っている店で、ドイツ洗濯機博物館と言ってもよさそうなおもしろい場所でした。
昔の洗濯機のデメリットは短時間で洗濯するプログラムでも時間がかかる(1時間とか)とか、そういう機能さえついていない(2時間かけて洗濯する)とか、脱水の回転数が少ないってくらいでしょうか。
なにせ壊れにくいので、「まだ使えるおばあちゃんの遺した洗濯機」というのが親戚友達の間でけっこう出回っていて、若くてお金がないカップルには大変喜ばれるものです。
ただ、子育て中の家庭としては洗濯回数が多いので、使用電気の量が少なく、短時間で洗濯でき、脱水も高速で干し時間短縮のできる新型洗濯機というのは非常にありがたいものです。ただし、長期的にはランニングコストで逆に損をすることもあるので使用電力や水量をよく確認して事前に損得を計算してください。
ドイツの洗濯機のブランド
日本にも輸入されていて、とても高級なイメージのある、そして実際に価格も高いMiele。壊れにくいという評判です。業務用もあって、新しいものはデザインもすっきりしてとてもおしゃれ。個人的にお金があるならいちばん買いたい洗濯機です。
Mieleに限らず、超高額のモデルにはいろんな機能がついている分使い方も複雑になるので、ドイツ語がわからないならあまり多機能モデルは選ばないほうが無難です。わたしの感覚では400ユーロから800ユーロくらいが一般家庭で新品の洗濯機に出す値段かなというイメージです。1000ユーロ超えるモデルはよほどの洗濯マニアかお金持ちなイメージです。
BoschとSiemensもわりと高級なイメージがありますが、こちらは値段もわりと手ごろなタイプもあります。友達の家など一般家庭でいちばん目にすることが多いです。その他としてはAEGもよく見かけるし、Bauknechtと韓国のSamsungも機能のわりに価格が安くてわりとよい洗濯機を作っているみたいです。BekoとGorenjeはわたしのまわりで使っている家庭を知りません。
機種を選ぶときのポイント
まずは設置の条件
前に住んでいた家は台所以外にどこにも洗濯機を置けるスペースがなくて、しかもそこはトップラーダーしか置けないというところでした。そんなスペースの問題もあるし、洗濯機は水道と排水ができないと使えません。
洗濯機を置くスーペースが作られている場合は、バスルームや台所、あるいは地下の洗濯機置き場が普通ですが、普通でない家の場合は廊下とか、置く場所自体がない、とかいう場所もあります。日本の昔のように屋外に洗濯機を置いているケースはいままで見たことがありません。
洗濯機置き場がないけど無理やり置けるところに置いているという人たちもいて、そういう場合は排水と水道用の長ーいホースを用意して、洗濯のたびにバスルームや台所にホースをつなげて洗濯しているというケースもいくつか知っています。でもそういう洗濯機は水漏れが怖いので洗濯のときに近くにいて異常がないかチェックしないといけないので面倒です。
設置が台所など寝室や書斎の近くになる場合は洗濯機の騒音も考えないと古いタイプは格段にうるさいものがあります。
使用する電気量と水道料
学生寮なんかでは洗濯機を1回使うと1ユーロ。乾燥機も1ユーロくらいがわたしの知っている相場です。洗濯乾燥あわせて2ユーロというところも知っています。
実際に光熱費などの管理をしているのは相方なのですが、以前の自分の経験ではドイツは水道代が物価に比べて高い気がしていました。洗濯機は家族で生活していると頻繁に使うものなので、洗濯機そのものの価格ももちろんですが、使用する電気と水道代金でその後のランニングコストがだいぶ違っています。
電気の使用量についてはB,A,A+,A++,A+++などで表示されていて、Aにプラスがたくさんついているものほど優秀です。水は洗濯機ごとの仕様で確認します。最近はトップクラスのA+++が主流です。
脱水の回転速度の回数も洗濯機選びの大事な要素ですが、1400回転でふつうは十分間に合います。1600回転になるとそのぶん使用電気量が増えるので、そのあたり本当に必要な機能を重視して機種を選ぶとよいかと思います。
あとは設置場所の問題もあるんですけど、床の材質によっては洗濯機が脱水中に動いてしまったりするというケースも知ってます。普通は洗濯機の下にある4本の足の高さを微調整して解決するはずだけど、床の材質のせいで滑ってしまってどうしようもないという話でした。地下のコンクリの床なんかだと問題ないですけど、家の中の廊下とかに設置する場合は気をつけてください。
蛇足ですが、日本の住宅では振動の問題などで2階に設置できないとMieleは言っているようです。ドイツでは住宅の構造が頑丈なので2階に置くなというハナシは聞いたことがありません。
洗濯機能による違い
普通は洗濯機を選ぶならフロントラーダータイプの洗濯機だと思うので、それで言うと、洗濯機ごとの洗濯機の機能の違いはあまりないんじゃないかと思います。ドイツの洗濯機は手で下洗いとかしなくても少ない水でしっかりきれいに洗濯できます。
逆にしっかり洗いすぎて生地が痛みやすかったりするので、うちで使う洗濯機のプログラムはもっぱら40度のショートプログラム。30分くらいで仕上がります。普通はこれで十分。
洗濯機自体の構造がどのメーカーのどの価格帯を見てもほぼ同じということからわかるように、ドイツの洗濯機の選択機能自体の違いはあまりないんじゃないかと思ってます。
洗濯機能自体よりむしろ洗濯機の稼働中の振動とか、騒音とかでは違いがあるのかもしれません。あとは大物など特殊なものを洗うとき。ソファーのカバーなど、水を含んで重さがあるとなかなか脱水に進めないという洗濯機を昔使ってたことがあります。片側によった洗濯物をなんとか転がして調整するんですけど、その調整がうまくいかなくて途中でエラーになるとか。
メーカーで洗濯機の洗濯力に違いを感じるというドイツ在住の方がいたら教えてもらいたいです。
軽い汚れ物を洗うときのショートプログラムの時間
上記のように、うちの洗濯機のショートプログラム(Schnellprogramm)は40度以下の洗濯コースなら30分ぐらいで洗濯、脱水を終了してくれます。でも洗濯機によっては、最短の洗濯コースを選んでも60分以上かかる機種もあります。
一般的に古い洗濯機のショートプログラムは長いです。普通コースで2時間、短縮コースで1時間という感覚。時間が長くかかっても、少ない電力と水量でエコな高級洗濯機(ミーレの一部機種など)もあります。最新機種でも必ずしも短時間で洗いあがるとは限りません。
わたしは毎回60分も洗濯物がぐるぐる回っているのが嫌いなので、新しい洗濯機を選ぶときは絶対にショートプログラムで30分前後で洗いあがる洗濯機が欲しいと思います。日本人としては普通の感覚かと思いますが、ドイツではそうではないので、わたしと同じく選択時間が短いのが好きな方は購入前にきちんと確認しないと使ってからガッカリ、ということになります。
中古洗濯機を買う、引越しの際に洗濯機を売るという選択
節約したい、知り合いが洗濯機を売りたがっている、など洗濯機を中古で買うという選択もドイツでは普通です。ただし、壊れていた場合の保証がありません。洗濯機は硬水の地域などでは使用条件によってはカルキで壊れるのが意外と早かったりもするものです。ebayなどでは壊れているのにそれを隠して売りつける悪い人もちらほらいるそうです。洗濯機は大物なので壊れたときの対応が大変です。子供がいるのに洗濯機が使えない日が続くとストレスも大きい。
日本人の駐在の方で新品購入で1年とか2年しか使っていない洗濯機とかは上物ですから、信頼できるところからの比較的新しい中古洗濯機はありがたく譲っていただくとよいでしょう。うちにいまある洗濯機も5年前に日本人夫妻からタダ同然で譲っていただきました。
逆に2年程度の駐在で購入した洗濯機を売りたい、という場合は日本人相手に販売するよりもドイツ語のオンライン掲示板や、ebayなどで売ったほうが高額で売れる可能性が高いです。日本人は中古にあまり高いお金を払いたがりませんが、ドイツでは中古品もわりと高額で個人売買されます。物によってはなぜその程度の価格の差で新品を買わないのか理解できないような高値で売買されているのも見かけます。日本人に洗濯機を売ると自分で持っていくのも手伝わされたりしますが、ドイツ人やその他の人たちに売れば車でふたりくらいで来て、さっさと運んで持っていってくれます。ただし、最後の最後に値切られないように気をつけましょう。
日本語がわかる人に引き取ってもらいたいのなら、まずは知り合いなどに聞く、メールであらゆる知り合いに送ってもらう、日本人の集まる場所に張り紙をするなどでしょうか。時々メールで知らない人の帰国売りのお知らせが届きます。オンラインでは日本語のドイツ滞在者用の掲示板で帰国売りとして売りに出すのがよいのではないかと思います。
長くなりすぎてしまったので、洗濯機の使い方などは別記事にすることにします。