とびきり美味しいジャムはどんなジャムですか?フランスのchristine ferber、La Grande Epicerie de Paris?いいえ、ドイツの人たちが大好きなのは手作りジャムです。
昔ドイツに来てまだあまり経っていない頃に、民泊のようなところで出されたジャムが美味しくてびっくりしたことがあります。聞いてみると奥さんの手作りジャムでした。友人のお母さんから庭でとれた苺で作ったジャムを1瓶もらって、「このジャム、人生で食べたジャムのなかで一番美味しい!!」と言って、友人にびっくりされたことがあります。
何か特別な技術があるのかと思ったけど、なんてことはない、材料と手順さえ覚えれば自分でも簡単にできました。
一度手作りジャムを食べるようになると、もうスーパーで買ったジャムを美味しいと感じるのは難しい。そのぐらい新鮮な季節の果物で作ったジャムは美味しいです。
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ドイツの家庭では手作りジャムは当たり前
ドイツの主婦は、1年分のジャムをいろんな果物で作っておいて、ついでにちょっとした手土産やプレゼント用に小さなきれいなビンに詰めておいたりもします。苺やブルーベリーやレッド・カラントなんかの一般的な種類もあれば、エルダーフラワーを漬込んだりんごのジャム(厳密にはゼリー)、庭で育った葡萄のジャム、なんていう珍しい物も。
勿論、ジャムは家で作っていない、という家庭も沢山あると思います。でも、ドイツでは自家製ジャムだけでまかなっているという家庭もあまり珍しくありません。
手作りジャムはマルクトやイベントのときにも売られていることも多いです。
手作りジャムは必ず新鮮なフルーツで
ジャムを作り始めてすぐの頃は、材料も要領もよく分からなくてとても面倒に思いましたが、慣れてしまえばその時々の新鮮な材料を見つけたときに、サッと作れてしまいます。
果物が庭で採れる、という環境の人にとっては、ジャム作りはせっかくの収穫を無駄にしないための作業なので、収穫シーズンにはものすごい量のジャムをせっせと作ることになります。
我が家でも1年分のジャムとなると、苺を5キロ、ブルーベリーを2キロ、ラズベリーにアプリコット、など等すごい量を作るのですが、庭で採れる人たちはさらに多くの量になります。
作業が大変なのはさくらんぼ。収穫するのが大変なのと、種を抜くのと、果汁の色が濃いのと、実が小さいのと、とにかく面倒。友人から手伝いを頼まれたこともあります。
自分でジャムを作るときは、新鮮できれいな果物を使うこと。熟れすぎて安くなって値引きされているような果物では美味しいジャムはできません。
新鮮できれいな果物はお値段は少々高くなりますが、それでも日本で買うよりも断然安いです。鮮度が落ちやすい苺なんかは自分でいちご畑までつみにいくのがベストです。
充実したジャム専用の砂糖
ドイツにはジャム専用として販売されている砂糖が各種あって、とても安くどこのスーパーでも売られています。ほんとうに色々種類があって、普通の砂糖でもできるのですが、ここではとりあえずジャム専用で一般的によく使われる砂糖だけをご紹介します。
Einmach Zucker (ジャムなど煮込み保存用砂糖)
Wikipediaの説明↓をザックリ日本語にすると、結晶の大きめな煮込み用の砂糖で、あわ立ちが少なく、なべ底で焦げたり、固まったりしにくい砂糖です。
Die großen Kristalle lösen sich langsamer auf als üblicher Haushaltszucker. Dadurch entsteht beim Kochen des Obstes weniger Schaum und durch das langsamere Schmelzen der Zuckerkristalle verringert sich das Risiko, dass der Zucker am Topfboden anbrennt oder Karamellklumpen bildet.
とはいっても普通の砂糖なので、煮詰める時間は果物に左右されるし、甘いいちごなどの果物はレモンジュース(クエン酸)を足したり、ちょっとハードルが高い感じがします。ジャムが固まらない、というのは初心者によくある失敗です。
このような砂糖でジャムを作る場合は、砂糖を果物にまんべんなくまぶして、何時間も静かに置いてしっかり水分を果物から出して煮ると教えてもらいました。このあたりも少々面倒なので、わたしは短時間で確実に作れるGelierzuckerが好きです。
Gelierzucker (ゼリー化砂糖?)
こちら、ジャム初心者でも失敗の少ないGelierzucker。これは、砂糖に最初からペクチンが含まれていて、一定時間沸騰させてそのままビンに詰めればかなりの確立で成功するという便利な製品です。
これには、果物と砂糖の比率が1:1や、2:1や、3:1などの種類があって、数字が大きいほど果物に対する砂糖の量が減って甘みの少ないジャムが出来ます。日本で一般的な果物のジャムだけでなく、果汁もGelierzuckerで調理してジャムと同じようにビン詰めできます。
日本人的には砂糖は少ないほうがよい、と考える人も多いかと思います。でも砂糖が少ないということはその分保存効果が薄れるということでもあります。ですから、2:1や3:1という砂糖には、ペクチン以外に、ソルビン酸が添加物として混ぜてある商品が多いのです。
↑こちら、Südzucker Gelierzucker 2plus1の成分表示。Citronensäureクエン酸、Sarbinsäureソルビン酸。ペクチンは植物性ともかかれています。
せっかく手作りするのに、添加物は残念だから嫌、と考えるか、砂糖多すぎのジャムのほうが添加物が入っているよりよい、と考えるか、そのあたりは人それぞれだと思います。とりあえず気になる方は成分表示を確認して選ぶとよいでしょう。オーガニック(Bio)系の製品ではソルビン酸が含まれていない2:1もありますが、お値段3倍ぐらいです。
Gelierzuckerを使ったわたしのジャム作り
ソルビン酸は少々気になるけど、まあよしとして、わたしは普段2:1のGelierzuckerを使っています。どの果物を使う時でも、ジャム作りには最近はこれしか使っていません。とにかく失敗が少ないのと、短時間で作れてしまうのがよいのです。
普通の砂糖でジャムを作っていたときもありましたが、普通の砂糖で作ったジャムはある程度の時間煮て水分を飛ばさないと固まりません。Gelierzuckerは製品によって違いますが、3分か4分沸騰した状態をキープすれば、そのままほぼ確実にきれいに固まります。
短時間で強火で煮てさっと仕上げるので、ジャムの色もきれいに残りますし、元々の味がしっかり残ります。2:1でも地下室で保存すると1年ぐらいは腐ったりせず美味しく食べることができます。
苺などの酸味が少ないフルーツでジャムを作るときには、Gelierzuckerを使う場合でもレモンジュースか、クエン酸を加えます。
苺ジャムをGelierzuckerで作ってみましょう
いろんな作り方があるのですが、これがわたしが一番楽でかつ成功率が高いと思う作り方です。重要ポイントは鍋の大きさ。最初の頃はどのぐらい大きければよいのか分からず、失敗しました。お鍋に全ての材料を入れて、高さが3分の1ぐらいまでのかなり大きめの鍋を使います。
ごろごろ苺のジャムはわたしのまわりのドイツ人では苦手という人が多いです。一度バーミックスを使って潰したこともありますが、苺だとちょっとやりすぎな感じになってしまったので、苺ジャムの時は、マッシュポテトを作る道具で潰す方法に落ちつきました。(わたしはブラックベリーはバーミックスで潰します)
- へたを取った苺をサッと水で洗って水分をしっかり取ります。丁寧に作りたいなら、ふきんやキッチンペーパーで拭いてもよいぐらいです。まあザルで水を切るぐらいでも大丈夫。
- 鍋に果物と砂糖を交互に入れて砂糖と果物が別々に固まらないようにします。このまますぐに煮始めてもいいし、数時間置いて果肉の中の水分を出しても。
- 中火から強火で蓋なしで火にかけます。
- 火にかけている途中に苺をガシガシと潰して、レモンジュースかクエン酸を入れてよく混ぜます。
- 鍋全体がしっかりあわ立つぐらい沸騰しはじめたら、ふきこぼれないように火加減を調整しながらGelierzuckerの説明に書かれている分数だけ沸騰をキープします。(普通は3分か4分)
- 苺の場合はあくが沢山出るので、沸騰している間に水を張ったボウルとお玉で取ります。
- 別の鍋で熱湯消毒しておいたグラスと蓋にジャムを詰めます。
- 静かにそのまま冷まして、冷えたら温度の一定する地下室などの冷暗所で保存します。
- 中身と作った日を記入したラベルを貼っておきます
こうやって作ったジャムはうちの保存条件で1年ぐらい持ちます。(使用する砂糖はSüdzucker Gelierzucker 2plus1です)詰めたジャムのビンを熱湯にかけてもういちどしっかり殺菌する人もいますが、わたしは熱湯消毒したビンと蓋に、ジャムを熱いまま詰めて保存するだけで大丈夫。カビが生えたことはありません。
Weckのビンで脱気したり、普通のビンでも、熱いジャムを入れて逆さにする人も多いですが、わたしはこれが面倒で嫌いなので、やりません。ビンも蓋も内側は絶対に手でもふきんでも触らず、水分は降って落とします。熱湯消毒したビンはお湯から出して水気を振り落としてそのまま熱いジャムを詰め、お湯から出してすぐの蓋をします。