子連れで乗ったのはもうだいぶ前になりますが、日本の新幹線は切符が必要ない小さな子供の座席の予約ができなかったと思います。
それに比べてドイチェ・バーンは太っ腹。ICEに乗るときは0歳の赤ちゃんでも座席予約の手数料(前回の旅では、家族全員まとめて座席予約で9ユーロ程度でした)を払えば切符を買わない年齢の子供でも座席が一人分予約できます。
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子供に切符が必要になる年齢
赤ちゃんや幼児だけではなく、15歳以下の子供が親や祖父母とICEなどを使って長距離を移動する場合には子供の鉄道料金が無料になります。ただし、切符を購入するときに同乗する子供の年齢区分と人数を、大人の切符に記載してもらうことになっています。
ICEの子連れ専用個室、Kinderabteil
ICEには子連れの家族専用の客室、Kinderabteilがあります。数が限られているので予約がいっぱいになったらそれでおしまい。どうしてもKinderabteilに乗りたい場合は早めに予約しましょう。
Kinderabteilのつくりはその車両によって若干違うようです。Googleの画像検索で写真が見られます。別のREなどの写真も混ざっていますが、ブルーのICEのシートで見分けがつきます。
わたしは授乳が必要な頃はKinderabteilを予約することが多かったのですが、その後だんだんこれが嫌いになってきて子供がすこし大きくなってからはKiderabteilは利用しなくなりました。その理由は、
- 通路側がガラスになっているので、一部すりガラス状で目隠しされているとはいえ外から丸見え
- 電車がものすごく込んでいると空いている座席を狙って他の乗客が入り込んでくることがある
- 限られた空間なので他人が入ってくると授乳するのは通常の座席で授乳するより決まりが悪い
- 入ってこないにしてもすぐ前にずっと乗客が立っていることがある
- 空いていても通り過ぎる人がみんな中を見ていくので落ち着かない
- 2家族一緒に旅行をするときは赤ちゃんが寝ていたりして逆に気を使う
- 空調がKinderabteilだけ効かず、他の車両はクーラーが効いて涼しいのにKinderabteilだけ汗だくになるくらい暑いということが2度あった。(路線によって違うと思いますがMünchen-Frankfurt Flughafenの路線でした)
逆によいと思う点は
- 子供が大声で騒いでもあまり気にならない
- オムツ替え台のついたトイレがすぐ隣にあるのでオムツ替えに行くのは楽
- 他に家族がいなければ自分たちだけの個室で旅行ができる
一般座席を予約するときのポイント
1等の座席はわたしは利用したことがありません。利用している人も知りません。ICEの座席はほとんどが2等ですから、ここでは2等席のことについて書きます。
2等座席の種類は大きく分けるとふたつ
ICEの一般座席は日本の新幹線のような大部屋タイプのGroßraumt(グロースラオム)といわれる車両の座席と、小さく6人の座席に仕切られたAbteil(アブタイル)の座席があります。
5人家族や6人家族ならほぼ個室状態になるのでAbteilが快適かもしれませんが、3人家族で残り3人が他人だと授乳したいときとか、子供が愚図っているときなど、とても肩身が狭いのでわたしは好きではありません。
静かな車両と騒がしい車両
Großraumにも車両によってHandybereiche(携帯利用可能車両)とRuhebereiche(携帯禁止、サイレント車両)があります。子供が確実に寝ると分かっていたり、静かな子ならRuhebereicheは快適ですが、愚図ったり騒いだりしたらとても迷惑になります。そういう場合は予約の段階でHandybereicheの座席を選びます。
うちの子供は騒がしいのに、相方が間違ってRuhebereicheの座席を予約していた時はかなりムカつきました。でもそのときは子供ふたり連れでひとりが泣き叫んでいる家族が同じくRuhebereicheに乗っていたのでうちはあまり目立たずにすみました。
テーブルがある席と、ない席
予約の際にはさらにテーブルありとテーブルナシを選ぶことができます。こっそり目立たずに授乳したいときはテーブルなしの2列横並びの席の窓側がたぶんいちばん目立ちません。3歳や4歳以上になってくると、塗り絵をしたり、テーブルの上にiPadを置いて動画を見せたりできるのでテーブルありが便利です。
オムツ替えスペースは限られているので必要なら近くの席を
オムツ替えが必要になる子を連れて旅行するときはなるべくオムツ替え台のついたトイレが近くにある車両を選ぶのがよいでしょう。休暇の最初や終わりなどは、ICEの車内がとても混んで、通路まで人が立っていることがあります。そういう時は、子連れで車内のトイレまで移動するのは大変です。
駅のホームの形状によっては相当な距離を歩く
Stuttgartのように行き止まりになっているような構造の駅では、乗り換えで端っこの車両に乗っているとかなりの距離を歩くところがあります。事前にその駅を知っている人に駅の乗換えに便利な場所を聞くなどすると安心です。
夫婦で子連れならまだしも、母親ひとりで子供を連れてさらに荷物などという場合には歩くのも大変ですから、そのへんも考えて座席を予約するとすこしは楽に旅行できるかもしれません。
予約していても座れなくなるケース
普通は座席を予約してICEに乗ったら必ず座れるのですが、電車の故障などで急に予定外のところで別車両に乗り換えなくてはいけなかったり、予定していた電車がトラブルで運休になって別車両に乗らないといけないことがたまにあります。
そんなときは大きな荷物を持ったからだの大きなドイツ人でぎゅうぎゅうになったICEに立って乗るはめになるかもしれません。赤ちゃん連れなら座席を譲ってくれる人もいるかもしれませんが、いないかもしれません。もしものときのために、抱っこひもはあったほうが便利です。
予約をしたはずの席に他人が座っている場合は、乗ってすぐなら座席の上の席番号が表示されているところに予約区間が表示されているはずです。そこが自分の予約座席であることをチケットで確認して、座っている人に声をかければ、普通はどいてくれます。
トラブルで表示されていないこともあるし、普段でも表示はしばらくしたら消えてしまうことがあります。
ICEとベビーカーの利用
残念なことにICEは大きなスーツケースやベビーカー&バギー等を置くスペースが絶対的に不足しています。特に飛行場を通る路線では巨大なスーツケースをもった乗客が沢山乗っていたりして、棚の上にも座席のしたにも収まらないスーツケースがあちこちの通路をふさいでしまいます。
満員で立ったままの乗客がいるようなときは大型ベビーカーどころか旅行用バギーでさえ邪魔で広げておいておくことはできません。
ローカルなバスや電車なら普通はあまり問題がないのですが、ドイツによくあるタイプの大型ベビーカーはICEの旅行には向きません。(超大型ベビーカーは一部の都市のSバーンなどにも乗れない、あるいは乗りにくいことがあります)
Kinderabteilならそのまま置けたりしますが、そうでないと車椅子用スペースに置くのですが、そこも荷物や乗客でふさがっていたら通路をふさいで置くしかなくなります。
ベビーカーを持ってICEに乗りたい場合は、なるべく軽量で小型のバギーを。わたしはバギーも邪魔になるので抱っこ紐で抱っこできるうちは抱っこ紐を使っていました。
ICE内で与える食べ物や飲み物
ICEで旅行する場合、駅や食堂車で食べ物や飲み物を買うこともできますが、ICE内は日本の新幹線と同じく一般の相場より物によっては倍くらいの値段で物が売られているので基本的に食事や飲み物は余るくらい持って行きます。
おむつも同様に必要枚数より余分に持って行きます。車両の故障などで長時間立ち往生したという経験はないのですが、短時間止まってしまったり、1時間以上遅延したり、電車の旅も何があるかわかりません。
子供はお腹が空くと機嫌が悪くなってつまらないことで泣き叫んだりしますから、食べ物は多めに用意しています。授乳中の方なら1、2時間くらい電車が遅れても自分用の食べ物、飲み物をしっかり確保できるように準備しておくと安心です。
Kinderfahrkarteとおまけの記念品
ICEでは他の特急でも車掌さんにもらえるKinderfahrkarte(子供用のおもちゃの切符) とは別のちょっとしっかりした紙のKinderfahrkarteを配っていて、それをBistro(食堂車)のカウンターに持っていくと飛行機でもらうようなおもちゃがいろいろもらえます。専用切符がなくても、食堂車のカウンターに子供を連れて行って要求すればもらえます。
かなり安っぽいオモチャの数々ですが、電車の玩具はわりと丈夫です。小学校入学前の子供はけっこう喜んだりするので貰ってみるとよいと思います。
以前はプラスチックのDer kleine ICEというキャラクターのオモチャでだけしたが、その後、キャラが増えているようで、IC Bus BenniというまるっこいICE風のバスや青い寝ているNich Nachtzugや、女の子のICが出ています。上の画像は、2016年にうちの子がもらったIDA ICという女の子のキャラクター。Robbi Regioというのが新キャラみたいですが、こちらはまだオモチャとして出回っていないようです。専用サイトもあるのでお好きな方はどうぞ。
他にもICEでは、塗り絵と小さな色えんぴつ5色セット、神経衰弱専用カードのメモリー、子供用雑誌などを渡してくれます。内容はそのときの在庫によって変わります。
夏休みなど旅行シーズンには、アイスクリームを配っていたり、車内の特定の場所で子供たちがバイトの若いお姉さんたちとゲームをしたりできるようになっていたりすることも。
ICE車両内の置き引きに気をつけましょう
大人ひとりで子連れ旅行をしているときは大変でも貴重品の入ったバッグは絶対に棚の上に置いたり座席周辺に置いたまま席を立ったりしないように気をつけます。
ICE内での置き引きは実際に知人も被害にあって、財布やパスポートの入ったかばんをまるごと盗まれてしまいました。最終目的地まで降りられない飛行機と違って、ICEは停車したときにさっと荷物を持って降りられたらもうおしまいです。電車が駅に止まるときには降りたり乗ってきたりする乗客で車内がざわつきますから貴重品には気をつけてください。わたしのように現地が長いと持ち物も見た目も現地化してしまっていますが、日本から来たばかりの日本人は髪型もぱりっとしているし、持ち物も衣服もおしゃれで高級な新品ばかりに見えて、こちらの人間にはとても目立ちます。
いろいろ旅先で盗まれたという話を聞いていると、フランスやスペインと比べたらドイツはかなり安全だという印象ですが、ドイツでも盗まれるときは盗まれることがあります。フランスとスペインの地下鉄や駅では、日本人もドイツ人もその他の人たちからも、財布やバッグや携帯を盗まれたという話をしょっちゅう聞きます。
ICE内で荷物を盗まれた人に遭遇しました(追記)
夏の旅行でICEを利用したときに、近くにいたドイツ人らしき女性が荷物を盗まれました。品のよい初老の婦人で、携帯で話している内容から、孫の誕生日パーティーに行くために旅をしていたみたいです。
黒の布のソフトタイプのトローリーで、ドイツ人が鉄道で旅をすると、ほとんどの人が持っているような荷物。
ご婦人は、きっと誰かが間違えて持っていってしまったんだわ、ちゃんと目立つ名前札をつけておけばよかった、と無邪気に言っていたけれど、、、盗まれたのだと思います。明らかに本物のヴィトンの大きなバッグ、金色の大きな腕時計で髪型もメイクも上品でいかにもお金持ちそうに見えました。
荷物がないのですが、と車掌さんに言うと、検札をしている人とは別の職員がやってきて、着いた駅の警察で降りてすぐに盗難届けを出してください、と言われていました。仮に間違えて誰かが持っていったとしても?と聞いていましたが、盗難届けだそうです。必ず駅で降りてすぐに、駅の警察に行くこと。後日、別の警察で届けるのはNGだそう。
このご婦人は、ICEの自分の座席から少し離れたところにある、車両中央の荷物専用棚にトローリーを置いておいたのです。小さなトローリーなので、頭の上の棚にも乗せられたし、座席の下に収めておくことも可能だったはず。
高く持ち上げなくてもいいので、空いていると荷物を置きたくなる棚です。自分も乗車してすぐにその棚に荷物を置こうかと思ったけど、相方がひょい、と上の棚に乗せてしまったのでまあいいか、と思った後の出来事だったので、寒気がしました。
休暇中や、イースター、クリスマスなどのICEは混雑するし、大きな荷物を持っている人が多いので、停車駅で乗り降りがあるときには車内はとても騒がしくなります。その混乱に乗じて他人の荷物を盗むのは素人が考えても、かなり簡単そう。
貴重な荷物でなくても、着替えなどが入った荷物が旅行の前後に無くなってしまうのはとても大変ですから、旅のときはくれぐれも気をつけよう、と改めて思いました。
それから、今後は誰もが持っているような地味な黒いソフトタイプのトローリーは絶対に買うのをやめよう、と決めました。赤とか、オレンジとか、黄色とか、他の人が持っていったらすぐに自分のかも、と分かるような派手な色を買いたいと思います。
あのご婦人、ほんとうに誰かが間違えて持っていったのであればよいのですが。